2002〜3年末年始 オーストラリア・マニラツアー
〜初XCトライ腰痛フライト記〜
2002年12月28日(土)〜2003年01月5日(日)



■ハングメンバー(長野車山)
手堅い飛びの村井さん 
ビリヤードも得意な小松さん 
ほのぼの釣り好きの須田さん
オヤジぎゃぐ爆裂の松井さん

■パラメンバー
2002PGXCリーグチャンプ中川さん (オメガ5) NASA
青クオーク・鈴木さん NASA 
自衛隊医療班・栗原さん(プロミス) NASA
丹那・丹沢 渡辺さん  (VECTIS)
ご近所のウッキー (オメガ4)  松田・朝霧
田村 康子 (ミストラル2) 朝霧

■サポート
宮田 歩
Adie Kumar




  
 

海外フライトツアー。もう何回行ったか覚えていないくらいあちこち行ったが、飛んでるときにあまりにつらくて、涙しながら回し続けて上げなおして、それでもまだ飛び続けたってのは初めてだ。

 
★★★12月28日(土) 〜29日(日)★★★                       

相武台−成田―ソウルーシドニー−タムワース(Tamworth)−マニラ(Manila)28時間移動後のぶっ飛び

 
一人旅なのに乗り継ぎ2回、しかもトランジットは2回とも3時間以上。28時間の超・長時間移動だった。年末の出国ラッシュの成田を警戒し、いつもより早めに空港入りし、この先の長旅に少々うんざりしながら、それでも気分は会社から開放された喜びと初めてのオーストラリア・始めてのXCチャレンジに浮き立っていた。成田でシャワーして、真冬の服装をちょっとだけ軽くして、ソウル・インチョン空港へ飛びたった。
インチョンでも時間がありあまったので、マッサージ&シャワー。しかしこの利用料はめちゃめちゃ高い!成田でもシャワー使用は300円なのに、インチョンは800円。マッサージは40分5000円だったかな、とにかく市価の倍はとる。長旅の疲労を回避することが最優先でなかったらたぶんやめておいただろう。それに引きかえ、空港レストランはまだましだ。カルビタン定食が1000円弱で結構ましな味だしている。
大韓航空のソウル−シドニー線は、韓国人の家族連れと日本人でいっぱい。席の前後を騒がしい子連れに挟まれながら、いつもの裏技・睡眠導入剤でなんとか寝ることができた。機内食は大韓航空だけあって、ビビンバのチョイスができる。これは機内食のなかでもヘルシーで良い。わかめスープが付いてくるのも嬉しい。
 
シドニー空港では、いったん荷物を受け取り再度国内線のカウンターで預けなおす。正直者の田村は、荷物の申告書に『スポーツ用品・靴あり』としたら、パラ靴を出されて消毒されてしまった。噂には聞いていたけどホントに消毒するんだな。タムワース行きは一番遠くのゲートで、人もまばらで寂しいロビーに日本人一人。ようやく海外気分になってきた。ローカル線のちいさなプロペラ機のヘッドロッカーに田村の手荷物は大きすぎて入らず、足元においていたら、プロペラ機のせいか荷物の配置チェックが厳しく、ぎゅうぎゅう押し込んで前の座席の下に詰め込まれてしまった。(おかげで出すとき一苦労だった)
シドニーからタムワースまでは約1時間。シドニーの美しい街並みと船舶が並ぶ複雑な海岸線の景色は見ものだ。雲の少し上からの眺めにこれから始まるXC飛行でみる光景に思いを馳せる。1本でもいい、いままでみたことのない景色がみたい、いままで経験したことがない風に乗りたい。そう思った。(でもこの時はまさか本当に1本になるとは思ってなかったけど)
 

 

タムワースの空港は、いままで行ったどの空港よりローカルで、これじゃ相模線の駅のほうがまだましってくらい何にもない空港だった。売店もなければインフォメーションカウンターもない。あっても人はいない。かろうじてコーラの自販機が一台あるだけ。おかげで迎えにきてくれた人にはすぐに会えた。今回、田村ともう1名はツアーの途中から参加することになるので(もう一人は明日の到着)、空港には誰かがピックアップにきてくれることになっていたが、どういう人がくるかはまったく聞かされていなかった。出迎えに来てくれたのは、宿泊先のオーナー夫妻で、私がパラザックを自分で担ごうとすると「そんなにtinyなのにそんなに大きな荷物をどうやって持つの」と運んでくれた。奥さんのドット(Dot)は話好きな人らしく、こっちの英語力を無視して、最近の天候やタムワースの町の説明、趣味のアジア旅行の話を機関銃のようにし続け、30分ほどでマニラの宿に着いた。すでに昼の2時近い。家をでてから28時間が経過していた。
 
でも、ここまで来たからにはすぐに飛ぶぞ!宿はプール付きの素敵な1軒家のホテルで、普段ならまずじっくりみて回るところなのだが、心はすでに空にあった。ドットが「ツアーメンバーで一人、とても疲れている人がいて、今日は部屋で休んでいる人がいる。お昼ごはんどうするか、あんまり英語をしゃべらない人みたいだから、聞いてみて」というので、中庭を横切ってその人の部屋へ行くと丹沢の渡辺さんがふらっとあらわれた。昨日結構飛んだし、今日は胃の調子が悪いので休養モードに入っているとのこと。ドットにスープをお願いして、いそいそ山にでかけて行く。
 



まずはゴドフリーの家でご挨拶。どんなゴツイ人かと思っていたが、それほどでもなかったので気楽に自己紹介したら、英語上手いな、と褒められてしまった。へへっ。ここにはヨーロッパ人がたくさんきていて、田村をバッシャーのくるランディングまで連れて行ってくれたのはフランス人の綺麗な女性だった。バッシャーを待っている人たちはドイツ系の人が多く、ドイツ語なまりの英語がぽんぽん飛び交う。ぽつねんと一人できた日本人の女を奇異に思ったのか、「まさか一人できたのか」と聞かれたので「ミヤタとエディのツアーメンバーだ」といったら、それはいい、と安心された。日本人の単独フライヤーが悪評でも流しているのかとちょっと心配になる。
バッシャーでボラ山(Mt.Borah)を上りきるとエディがいた。いつもの笑顔で出迎えてくれて、エリアの説明をこと細かにしてくれる。
気合だけの入った1本目。28時間の疲れがないわけないのに、気分が高揚してるから何にも考えずすぐにでる。ところが・・・
いつもの癖で、あるリフトは全部拾わなくて気が済まない田村は、山際のリフトで下手に回して高度をロスし、あっという間にメインランに届かない高さに。ショートイーストのランディング上まで出してそこで拾ってみようとするものの、ランディング上空100mちょいでは気分はすっかり高度処理モード。本当はそこで拾ってあげていくのがセオリーらしいのだが、頭でわかっていてもつい山際にへばりついてしまうのだ。ツアーのミーティングを足尾でやったとき、たまたま来ていた福岡聖子ちゃんと「朝霧っ子は山から離れたら飛べないのよねえ」という話をしていたがまさにその通り。2本目も同じような感じで、なかなかボラ山のサーマルを捕らえられない。いつも雑に飛んでるから、こういう弱くてはっきりしないサーマルを探り探り行くのはホント苦手だ。またしてもショートイーストのランディング上まできてしまった。今度は高度処理モードじゃなくぎりぎりまで引っ掛けようと思って降りる体制をきちんと組み立てていなかったんのがいけなかった。アプローチが雑になり、えーい、ちょっと強引にターンで処理しちゃえ、とファイナルターンを切った直後失速させてしまい、ハードランとなってしまった。痛てて・・・今のはちょいやばかったなあ・・・。自分でもちょっと呆然としてその場に座り込んでいたら、エディが駆け寄ってきた。テイクオフの付知メンバーからも、「今の人大丈夫ですか?クラッシュしたようにみえましたけど」と無線がはいる。あー、そうか動いてないから心配してるんだなと「すみません、大丈夫です。」と無線を返して立ち上がる。あやうくY川になるところだった。自分の疲労状態を無視して気分だけで飛んじゃいけないのねと反省。ちょっとブルーな気分になってしまったので、今日はここで終わりにする。
 

夜はマニラ唯一のチャイニーズレストラン・ex-serviceman club へ。(退役軍人クラブくらいの意味か)。お酒は自前で買って持ち込まなくてはいけないそうで店に行く前にドリンクを買って、おまけによけいなお菓子なんかもかったりしてex-serviceman clubにはいる。建前上、会員制なのでなにやら入会書を書かされ(でも日本語でかいてもOKなのだ)ようやくテーブルに着くことができる。面倒なシステムだ。ここで出てくる中華?はなんだかちょっと変っていて、シュウマイ(もどき)に揚げ春巻きまでは、まあよかったが、妙に甘ったるいハニーチキンやチャーハンはなんだかなぁって感じだった。極め付けがデザートに頼んだアイスクリームのテンプラ。それがオーダーのときに10個(人数分)頼んだのに、やけに大きさとか量を聞いてくるから変だなあ、と思っていたら、なんとフライドアイスじゃなくてフライドライス(チャーハン)がでてきてしまったのだ!おいおい、いくらなんでも、もう食べ終わった客にもう1回フライドライス出すか?エディが訂正してフライドライスは取り下げられ、あらためてフライドアイスがでてきたが、これがどうしてこんなにまずく作れるのか不思議なんだけどぜんぜんおいしいくなくて、もさっとした厚くて甘ったるいドーナツ衣の中にアイスがちょこっとだけ入っていて、結局田村は残してしまった。

車で10分。宿に帰ると風は強く、昼間の暑さがうそのように肌寒い。街はずれにある宿の周囲は、ひたすら牧草地で、光源がほとんどない。空を見上げるとミルキーウエイまでもがはっきり見えるくらい満天の星空。みんなで南十字星や衛星なんかをみつけて喜ぶことしばし。流れ星がいくつか流れた。「あっ、今の大きかったよね、」「くっそ-俺見逃した」「早く願い事しなきゃ」などと無邪気に星空と戯れる。☆☆☆
 
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