★★★12月31日(火)★★★
優雅な専業主婦的お洗濯で暮れてゆく2002年の大晦日。
 
数人が食堂集まってきた声で目が覚めた。時計をみると7時半。まずい、寝過ごした。身体がだるくて頭が重い。でも、起きなきゃ。急いで起き上がろうとするが、なんと上体が起こせないっ!横向きになったり下向きになってみたりするが、そのつどズキっとしてだめ。あがきもがくこと5分。なんとかベッドから出ることができた。でも早く動けないし、着替えるのにも一苦労。かばんの底にあるはずの腰痛ベルトを探し出し(普段から腰痛気味なので海外ツアーのときはもって行くのだ)階段の手すりにつかまりながら食堂へ。
昨日はそろそろ歩いていたら、Mr.Aとドットが「とても疲れてるみたい」と言った以外は誰も気付いてなかったみたいだし、あえて宣伝したくもなかったので腰痛のことは黙っていた。
 
今日はちょっと風が強めなので、少しゆっくり出ることになり、みんなでお洗濯大会。10人の洗濯物は洗濯機を3-4回分になる。

残りの洗濯を引き受け、みんなを車まで見送ると「あれー、行かないの?」と誰かが言ったが、「今日は休養日でーす」と軽く受け流す。


中庭のゆったりした椅子に腰掛け、洗濯機の終了を待つ。天気は上々。鳥の声。高く青い空。白い雲。風は爽やかに花を揺らして通りすぎ、見るものすべてがゆったりと美しい。まあ、こうなった以上仕方ない。こののんびりとしたリゾート気分を楽しみましょう。よくみれば庭のあちこちには、アジアンテイストな装飾品や盆栽。上品なピンクのオウム。裏のほうの囲いには熊みたいな大きな犬やポニー。ビッグファットキャットそっくりの太ったクロネコに人慣れしたシロネコ。1日くらいこの環境を楽しむのも悪くない。(って1日で済むとは思えない状況だったが)洗濯物の残りを干しているとドットが掃除をしたり、トニーがボートのメンテナンスをしている気配がする。こういう生活って悪くないかも。
 
洗濯物を干し終わると腰の痛みがましてきたので部屋に引っ込むことにする。なんだか熱っぽいな。ベッドにもぐりこんでうとうと。
 

1時くらいだったか、起きて部屋からでてみる。ドットが「なにか飲む?」って聞いてくれたので遠慮なくミルクティーをいただく。ドットは世話好きのいい人だ。田舎のおばちゃんみたいにあれこれ気を配り、世話しくれる。ホテルにいるというよりは、遠い親戚の家にいるみたいな気分だ。



部屋に戻る気もしないので洗濯物を取り込みに行くことにする。干し場は、渡辺さんと栗原さんの部屋がある離れのほうの庭にある。10人分の洗濯物の眺めは壮観だ。干してからまだ4時間くらいしかたっていないのにすっかり乾いている。時間をかけてゆっくりゆっくり洗濯物を取り込む。10人分を4回くらいに分けて運んで、1時間半くらいかけてたたんだ。40万円もするツアーの参加者の着るものにしては悲しくなるくらいお金のかかっていない衣類だった。ユニクロものとパライベントTシャツ、穴あき、擦り切れ、伸びきってどうしてもきれいにたためないTシャツ・・・。みんなお金の使い道がはっきりした人達だ。フライト以外のことはどうでもいいんだな(そういう田村のだってほとんどユニクロだったが)強い日差しをさえぎった涼しいベランダの陰で雲の消長を眺めながら、そんなフライヤー達の洗濯物をたたんでいると、不思議と穏やかでささやかに幸福な気分だった。普段家事なんてめったにやらないから、そんな感覚が新鮮だった。大晦日を洗濯物たたみで終わるというのもめったにない経験だ。
 
しばらくしてみんなが帰ってきた。風が強くハングの小松さんと松井さんが飛んで、危険そうだったので他の人は飛ばずじまいだったとか。松井さんはかなりやばい状況だったらしい。何があったかは教えてくれなかったけど・・・














まだ日差しは強く暑い時間帯だった。エディがプールで泳ぎ始めた。何人かがそれに続いた。それをみて宮田さんが、「川へ行こう!」と言い出して、例のターザンごっこのできる川へ全員ででかける。残念ながらこの状況では田村はターザンごっこに参加できないが、楽しそうなのでついていく。
 

昨日、食事をした場所のすぐそばの川岸に車を止めると、いの一番に宮田さんが、勢いよく川へドボン!

 

なんだ、川へ来たかったのは宮田さん本人だったのね。あっという間に向こう岸に泳いで上がり、対岸の木にかけてあるターザンロープにつかまって、派手に飛び込み!川の水は茶色で、腰痛がなくってもちょっと遠慮したいような水質だが、みんな次々飛び込んでターザンごっこに興じている。そのうちハングチームの二人は釣りすると言ってどこかへ消えていった。(なんで釣竿までもってきてるの?)田村はなぜか残ったメンバーにアイスクリームをおごるはめになり、アイスクリームなめなめ芝生のキャンプ場へ移動。エディが誘ってバレーボールが始まった。もちろん田村はみてるだけ。エディは何をやってもそつなく上手だ。元バレー部のMr.Aも昔とった杵柄で手堅いプレイ。みんなジュジュリジュと一緒で最初は遊びでちんたらやっていたのがだんだん真剣モードになってくるから面白い。そのあと、鉄棒でエディが不思議な前転と後転を披露すると小松さんが実は昔体操部で・・・と鉄棒にチャレンジ。平均年齢40を超えるメンバーとは思えない遊び方だ。
  

 

 



その日の夜は、ホテルでチキンディナー。スパイシーと醤油の手羽先チキン2種、これが前菜。巨大な焼き鳥2種とポテトのクリームグラタン風・きゅうりとトマトのサラダ。そしてチーズケーキに生クリームたっぷり添え。すんごいボリュームだったが、子供並みに遊びまくったみんなはよく食べていた。
締めにはドット秘蔵の皇帝のお茶・菊茶まででてきた。
このあとゴッドフリーの家で年越しパーティーがあるというので何人かを除いてみんなはでかけて行った。田村は、腰だけじゃなくておなかも痛いような張るような感じがしてきてふと、腸が動いていないんじゃないかと思いあたる。たしか10年前、圧迫骨折やったあと、1次的に腸が停止してしばらく物を食べさせてもらえなかったような記憶がある。もし同じなら現象なら?最悪だ・・・いつもにまして食べまくってるのに。どこかに下剤あったかな、と荷物をひっくりかえすが、下痢止めはあっても下剤はない。栗原さんに言ったら胃腸薬をくれたのでとりあえずそれを飲んで寝る。

またもやベッドに登れずあがく。




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