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811日(土) ご近所のA到着、例の写真の日。リンダにヒット


時差のせいかなんとなく浅い眠りの一夜が過ぎた。朝が弱い田村の枕元にナベちゃんが起しに来てくれる。この人は朝から律義で、枕元に直立し腕を腰にあて「おはようございます」なんて丁寧にいうから、寝ぼけながらもおかしくって起きてしまう。

N子さんは何時から用意してくれていたのか、すごい豪勢な朝ご飯を用意して待っていてくれていた。フライドエッグにハムに手作りポテトサラダ。朝からこんなにしていただいて申し訳ない!ナベちゃんには「寝るとこだけ貸してくれたらあとはなんにもしなくていいから」、と何度も言ってあって、ナベちゃんも奥さんに「ホントに何にも気を使わなくていい人達だから」(どんな人たちなんだよ、私たちって)といってくれたらしいのだが、パラ人種のことを知らないN子さんがそのせりふを額面通り受け止めるはずもなく、まともなお客さん扱いしてくれる。きっと次に行くときは(そんなことは多分ない)彼女もパラ人種がどんな連中だか分かって気を使わなくなっていると思うけど。

 

11時頃に到着するはずのご近所のAを出迎えに空港に向う。Mヤン一人で運転していた昨日より、なべちゃんのナビ付きの今日の方が出口をよく間違う。空港は昨日より日本人が多く、総合インフォメーションあたりでセーフコフィールド(マリナーズのホームグラウンド)への行き方を聞いている日本人なんかがいて、みんなイチローを見に来たんだなあと思う。昨日も入国審査で、入国目的をパラだと答えたら、
「マリナ
ーズは見に行かないのか」
と聞かれ、
「イチローを見に行く」と付け加えると、
「イ
チローはとってもいい」
なんてことを言って上機嫌で通してくれた。ランディング
でも地元フライヤーにイチロー目的できたのか?と聞かれるし、とても野球に興味ないなんて言えない雰囲気なんだよね。

 

ご近所のAのUA便は定刻に到着し、眠そうな顔でご近所のA登場。「ねみー、ほとんど寝ないで映画3本みてきた」とご近所のAの第一声。レンタカーのカウンターでドライバーの追加登録をして、エリアに出発。途中、昨日から気になっていたTERIYAKI BOWLのお店でお昼にする。今日もいいお天気で風も穏やかに吹いているが、昨日の経験からここのエリアは夕方に飛ぶのがベストと分かっていたから急がない。ショッピングセンターの中にある比較的安い日本食の店で、TERIYAKI BOWL700-800円くらい。香ばしく焦げ目のついたチキンはなかなかいけるが、焼き鳥のたれのような甘めのたれが、吉野家の牛丼・つゆだく状態でご飯が甘い。日本人にはチキンのたれだけで十分過ぎるほどだが、アメリカ人にはここまで甘くしないとだめなのね。どーーんと重くなった腹をかかえ4人はエリアに到着し、しばしバスを待つ。

 

昨日と同じようなコンディションで、穏やかに飛べそう。今日は昨日のバスぐるーーット遠回りをショートカットする上がり方を教えてもらう。相乗り車で5分程走り、そこから200mくらいほぼ平板な山の道を歩く。そうするとバスで走る距離の2/3くらいのところに出るのだ。といってもバス代の10ドルは2/3にはならないが。ご近所のAはひたすら早く出たがり、ナベちゃんはあまり飛んでいないせいか慎重なかまえ。Mヤンと私は昨日1本押さえたのでちょっと余裕で準備する。

 タイガーマウンテン・テイクオフ

みんなで12時間も飛んだだろうか。ナベちゃんは珍しくあまり粘らず降りてきた。ご近所のAは一人で谷の風下で浮いててなかなか好調だった。といってもみんなで前山状態だったことに変わりはない。+200くらいまでが限界で、それよりどうしても上がらない。後ろに谷があってその向こうに山が続いているが、なだらかな山なのでもう少し高さがないと突っ込めない。クロカン記録も数十キロ出ているらしいが、昨日も今日もド安定なリッジでサーマルコンは望めない。そんなエリアのせいか、何人かクレイジーなアクロバティックフライトをやる奴が数人いる。おとなしいフライヤーが多いなか、一人異彩を放つ白のバンディット。ものすごいスパイラルや、片翼つぶしトップラン、ループもどきなど次々やっては上げ直している。こいつはバスの中でもおかしな挙動をみせていたっけ。

 

ランディングでMヤン・ご近所のAとごろごろしていると、陽気なアメリカ人が、
「おまえらビールもってるか
?
と聞く。それまでだれていた
Mヤンの目の色が途端に変わる。
「ビール飲む?」
待ってました、その一言、と言わ
んばかりにMヤン・ご近所のAビールに飛びつく。彼は氷をざくざくいれたクーラーボックスにジャーマンビールをキンキンに冷やしていた。シアトルは涼しいとはいえ日差しの強いランディングにビールは嬉しい。(と言っても酒に弱い私はもらわなかったのだが)ビール1本ですっかり舞い上がってみんなでビールを持って記念撮影。これがあの例のお土産付きの写真となった。ビールの彼とは、地元のビールやワインは何がいいかなど世間話をして別れた。名前も聞いていないが好い奴だ。

注)例のお土産付きの写真=田村が撮影したMヤン・ご近所のA・ビール提供者のアメリカ人の3人の写真には、いるはずのない4人目の手が写っていた!心霊写真?写真データを送信されたPCの調子が悪くなったなどの報告もあった。(ホントか?)カメラの持ち主ご近所のAは、データを全削除し、カメラをお祓いにかけたという。

 

 

機嫌よく帰ってシャワーを浴びて、N子さんをのせて食事行こうと、今度はなべちゃんの車に乗る。すると運転席のナベちゃんがワイパーに挟んだメモをみつけシリアスな表情。メモにはI am sorry.あなたの車ぶつけちゃいました。保険で賠償しますから電話してください。電話番号**-****。リンダ」エーーッ!!どこどこ?どこぶつけたの?車を降りて車体を点検。後ろのバンパーにはっきりと刷った後が黒く残っている。こんな広い駐車場でどうやったらこんなに擦れるの?なべちゃん、ショックのためか顔色が悪い。あとで分かったことだがこの車は長期レンタカーで、つい最近やはりぶつけるかなにかで保険屋の世話になったばかりらしい。ナべちゃんの心配は、英語で賠償交渉がうまくできるかどうかということだ。ここはアメリカ、契約と交渉の国だ。それを電話でやらなくてはならない。想像するにナベちゃんは前回かなり大変な思いをしたのだろう。幸い車の損傷は大したことはないし、すくなくともリンダは当て逃げはしなかったわけで、きちんと連絡さえすれば何とかなるはずだ。ただしそれは英語できちんとコミュニケーションがとれればの話だ。いったん部屋に戻りリンダに電話するが留守だ。連絡は後回しにし、とりあえず直子さんをのせ、5人で夕食へ出かける。今日はチープな夕食ということで近所のドミノピザに入る。最初タコタイムに行くはずだったが、ビールを置いていないことが分かり、急遽ビールのあるピザ屋に変更したのだ。ピザの注文の仕方が分からないナベちゃんをからかい、(ナベちゃんはピザの生地を選ぶということを知らなかったらしい)分厚く濃厚なパン生地のピザに一同満足する。しかしやはりナべちゃんの表情は冴えない。

N子さんがいつも行くというスーパーに寄る。Mヤン・ご近所のA・田村はもの珍しくあちこちみてまわるが途中ナベちゃんが、調子が悪いといいだしたのでスーパー回りは早々に撤収。珍客を迎えての気疲れと久々のフライトの緊張と強い日差し、そして駄目押しの車のトラブルでどっと疲れがでちゃったんでしょう。家に帰るとN子さんがナベちゃんのマッサージをして労る。N子さんは話すと照れて淡泊なセリフが多いが、とっても優しい人だ。出会って1ヶ月でこんないい奥さんGETするなんてナべちゃんもやるなあ、とみんなで感心する。

明日、ナべちゃんの体調が復帰するよう祈りつつ就寝。ご近所のAはリビングで本を読んだ姿勢そのままで寝てしまったので、リビングに転がして置くことにする。



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