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 812日(日) ヒ○シ到着。メインイベントのマリナーズ観戦のチケットが・・・。田村の左ハンドル初運転。A田君登場。


ヒ○シのNW便は我々のUA便より到着が早い。昨日より2時間も早起きして今日はヒロシを迎えにいく。まったく4人しかいないのになんだってこんなにばらばらに来たり帰ったりするんだろう!そろいもそろって協調性のない奴らだ。

とにかくこれで全員そろって、天気も上々で良かった良かった、後はこのままセーフコフィールドに行くだけね、という段になって私は大変なことを思い出した。

ヒ○シと自分のチケット、ナべちゃん家に忘れた!!

一瞬、頭真っ白になったがとにかくはっきり言うしかない。
「なべちゃん大変、家にチケット置いてきちゃった。」

「え、まじ、冗談じゃなく?」(だったらよかったのに・・・)
「取りに帰るけどバ
スかなんかある?」
「それは無理。車じゃないといけない」

Everettとシアトル間に公共交通機関はないらしい。どうしよう。片道40分程度。今10時過ぎで、試合は1半だから取りにいけば十分間に合うけど。Mヤンは当然2時間前の練習から観る気だし、ご近所のAは観光の日が今日しかない。これは責任払いで私が運転して取りに帰るしかないが、全然運転なんかするつもりもなかったから道も真剣に聞いてなかったし、第一左ハンドル右側通行なんてやったことがない、おまけにあんなに大きな車で取り回しができるのか?でもやるしかないよね。
「悪いけどナべちゃん、道案内に往
復付き合ってくれる?」

ナベちゃんはレンタカーのドライバー登録してないから当然
運転はだめだが、家に入るにも道案内にも必要なのだ。N子さんもナベちゃんと一緒に付き合うと言ってくれた。あんまり家からでないN子さんがせっかくシアトルで遊べるチャンスだったのに、ほんとにごめんね。

そんなわけでセーフコフィールド前でMヤン・ご近所のA・ヒ○シをおろし、私は初めて海外運転にチャレンジすることになる。初めての機体に乗るときの10倍くらい緊張しているのにMヤン
「たむちゃん、ついでにおれの帽子もとってきて」
だって。はい
はい、こうなったらなんでもとって来ます。

ウインカーの操作を確認して、あれれ?シフトレバーがタクシーみたい、(コラムシフトっていうんですか)どうやってDに入れるのこれ?あっRに入っちゃったよ、うそー、こんなの操作できなーーい泣きを入れたいが入れている暇はない。操作におたおたする私にナべちゃんも心配顔で「シフトレバーはDのまま動かさないで行きましょう」
とアドバイス。何度もウインカーとワイパーを間違えて走り出す。車の運転って普段無意識にやってるだけに左右逆なのは本当に混乱する。ナベちゃんは隣りで

「はいここらでウインカー出して」
「右車線へ移れますか」
「前の黒い車について曲
がりましょう」
とほとんど教習所の教官状態。でもその親切な指導のおかげと日曜日
で道が空いていたこともあり、思ったよりスムーズにナべちゃん家に帰れる。所要時45分。大丈夫余裕で間に合う。うまくすれば町中をぶらぶらする時間もあるだろう。チケットとMヤンの帽子をとって急いでシアトルの町に引き返す。

最後の難関
は、セーフコ近辺の駐車場だ。きっと混でいるし、私はこんな大きな車の駐車なんかできる自信がぜんぜんない。

 

MPVは復路も順調に走り、11時半前にはセーフコに戻ってきた。運良く(と思ったがそれは間違いと後から分かる)パーキングタワーはがらスキで、まだ今日の試合の観戦客は集まり始める前らしい。余裕で駐車も完了し、深い安堵のため息。あーー、着いたーー。試合まではまだまだ時間がある。なべちゃん夫妻と3人でパークプレイスマーケット(公設市場)に行く。

 

マーケット正面にある魚投げで有名な魚屋には、たくさんの観光客が群がり盛り上がっていた。魚屋のおやじ達は調子づいてわざと魚を受けそこねてみたりカニ投げ8連発を披露したりとノリノリ。芸は面白いがこれで魚が売れるのか?

 

スターバックス1号店で記念のマグカップを買って、アイスカフェモカをテイクアウトし球場へ戻る。そろそろ試合だ。ところが球場のゲート前で我々は異変に気づく。ゲートが開いていない。人も少な過ぎる。チケットの試合開始は確かに1時半で今は1時前。おかしい。ホットドッグ屋も今ごろ店を出す準備中???あれれ、ゲートに小さな張り紙が。

「本日の試合は、地元局の中継の都合上、5時半からです」


えーーーっ!、聞いていてないよ。しかし地元客やたくさんいるはずの日本人団体客が来ないところをみると、それなりに地元テレビや新聞などできちんと告知されていたことなんだろう。なべちゃん、新聞・テレビはみないの?(なべちゃん家にはテレビはあるが、ほとんどBGM専用と化している)

あきらめてダウンタウンに戻ろうとしたとき、Mヤン・ご近所のA・ヒ○シの3人と再会。市内に残った3人は、シアトルの横浜マリンタワー、スペースニードルに登っていたという。

歩き疲れで球場残留を希望するMヤン一人を残し、5人はお昼を食べにもう一度マーケット方向へ歩く。途中パイオニアスクエアのお洒落な古いカフェで本格的ハンバーガーやフィッシュ&チップスなんかを食べて(マッシュルームとオニオンのにハンバーグパテの豪勢なプレート、結構いけました)、やっぱアメリカの食い物は多いよーと再確認する。特に「普段メシあんまり食わない」というヒ○シはきつそう。

 

再びパークプレイスマーケットをぐるぐる巡り、目まいがしそうなほど甘ったるいにおいのチョコレート菓子屋や怪しいスイカジュースなんかを回し飲み、球場へ戻る。私は歩き疲れて、バスかタクシーで戻りたかったのとちょと単独行動がしたかったのでみんなと別れてダウンタウンに残った。海外での独り歩きは楽しい。自分だけのペースで自分だけの目線で好き放題に街と戯れられる。しばらくぷらぷらしてタクシーで球場へ。さっきとは違って球場周辺はすごい活気だ。時刻は510分。ちょうどいい。野球無関心派の私は、炎天下に外野席で練習風景なんかに付き合う気は最初からなかったのだった。席は外野の真ん中当たりだったが入り口を間違えた私は、ちょうど正反対の正面の場所に出る。

 

階段を上がると内野席のすぐ向こうにフィールドが見える。バックではビール・ホットドッグ・ピーナッツ・アイスクリーム・特大のレモンソーダなどの売店がいっぱい。縁日みたいに楽しげだ。これでピエロがいればフェスティバル。フィールドのほうでなにか始まった。ブラスバンドが出てきた。場内アナウンスがひときわ大きな声で何かを告げる。突然4万を越える観客が立ち上がる。ホームベースの当たりに黒人の男が立ち、ひとり歌い出す。アメリカ国家だ。

巨大スクリーンに歌詞が(当然英語で)出てくる。

Oh, say can you see, by the dawn's early light
(おっ、なかなか上手いぞ)(中略)
Gave proof through the night that our flag was still there,Oh, say does that star-spangled banner yet wave.
(こんな情緒的な歌詞だったとは知らなかった)

O'er the land of the free(ここで観客席もりあがる、ひゅーひゅー)
 
and the home of the brave!
(ぱちぱちぱち!!)

いいねえ、なんかジンとくる。

球場を半周回って指定の外野席へ。「やっと来たね」「もう始まるよ」とみんな。みればMヤンはビールのせいか長時間の練習観戦のせいかもう真っ赤だ。

 

いつのまにか、イチローがバッターボックスに入っている。試合開始だ。イチローは最初の打席でヒットを放ち累にでた。この日の試合でイチローは2回ほど出塁したが、2回とも途中でアウトになり、守備も球が飛んでこないのでいいとこなしだった。マリナーズが守備の時外野の3人がセンターに集まるシーンがしばしばあり、イチローは2人のアメリカ人と並んでなにやら相談。こうしてアメリカ人ダイリーガーの中にいると細身でまるで子供みたいな体つきだ。

マリナーズは先制点を上げたがすぐに取り返され、1-1の同点が続く。試合は中半だらけて面白くなかったので、私は一人球場探検へでてしまった。7回が始まるころに席に帰ってきて、お待ちかねセブンイニングストレッチの時間。take me out the ballgame」を歌う。野球は嫌いでも映画ファンの私はこの歌にはなじみある。本場大リーグの球場でこの歌を歌ってホットドッグを齧るのがちょっとした憧れだった。ご近所のAなんかこの歌をずっと練習していたのに、セブンイニングストレッチの時間はどこかで油を売っていたらしく姿が見えない。

 

8回にマリナーズが1点入れて2-1になった。目の前のブルペンで佐々木が練習球を投げ始める。Mヤンが「理想的展開になってきた」と喜ぶ。後ろの頭の軽そうな日本人学生らしきグループが、佐々木をみて「ササキー」と叫ぶ。おいおい、ゲームと関係ない声援はあまり感心しないぞ、さっきもあまりに品のないアメリカ男がセキュリティーに連れ去られたばかりだ。日本でもやってるかどうかは知らないが度を過ぎて騒いでる奴や迷惑なやじ連中は、退場させられるようなのだ。9回、ちょっとじらされたが大魔神登場。ここ数日、佐々木は調子が悪いとヒ○シが言う。確かにちょっと緊張気味かな。それでもなんとか3人でかたずけマリナーズは勝利をおさめた。夕暮れの(といってももう8時半だ)セーフコ球場に気持ちの良い風が吹く。イチローも佐々木も出てきたし、マリナーズは勝ったし、後半はなかなか面白かった。私でも楽しめるくらいだから野球好きならわざわざこれ目的で来ても不思議はない。

 

さあ、試合も終わったし次はA田ユージに会いに行こう。

今日は本当は、彼と一緒にちょっと高級なシーフードレストランを行く予定だったの
だが、試合終了が何時になるかわからないので、A田クンの宿泊ホテルの近所で軽くやろうということになった。彼はその昔、欧米を放浪して身に付いた英語力が幸いし今はMソフト社でカタギのサラリーマンをしているという。NO●Aのコンペ機で落ちまくっていた切れたフライヤーだったが、結婚後はまっとうそうに生きている。

A田クンはMS社のあるベルビューの高そうなホテルに泊まっていた。寝ていた所を内線でたたき起こして呼び出し、一番近くのレストラン、なんとそれはデニーズ(なんでここまできてデニーズなんじゃー)に行く。仕事の話、なべちゃんの新婚生活の話、アメリカ暮らしの話、A田クンの仕事にお構いなくフライトに誘いまくる一同。こんなメンツでデニーズにいるとまるで朝霧の帰りに川口湖畔のファミレスあたりにいるようだ。A田クンはなかなか紳士的に初対面のN子さんとうまく話を合わせている。さりげない気遣いがいい感じだ。こんな上質の男だったかな?ちょっとみなおしたぞ、A田ユージ。

 

楽しい時間はあっと過ぎる。気がつくと時刻はもう11時。帰って順番にシャワーを使うと1時を軽く回っていた。




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