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  ジオスポーツ・ヨーロッパフライトツアー参加記
    ★期間:1994年6月25日ー7月4日
    ★行き先:オーストリア・チロル地方フルプメス及びその近郊エリア
    ★費用:385.000円(ツアー費)+65.930円(現地での出費)
                                       1994年9月1日記す




6月25日(土) 出発の日 成田〜インスブルック


憧れのヨーロッパツアーは、成田への遠い道程から始まる。20sの機体そして10日分の旅道具。山で担ぐのと違って街での機体は大きく重い。旅費を節約して電車で行こうと言ったことを後悔した。人目にはつくし汗はかくし、それでもこれがヨーロッパヘの道だと思えばつらくない。初めての海外、初めての飛行機がなんとヨーロッパフライトツアーなのだ。「機体の重さは期待の重さ」?さあ、フライヤーの夢、ヨーロッパアルプスへ出発だ。

成田について、なにはともあれ荷物を一時預り所へおいて、おのぼりさんよろしく空港見学。そこまでは良かったが集合時間になっても主催者であるジオスボーツ御一行様は姿を見せない。不安になって竃話してみると少し出発が遅れたとのこと。「ふつう主催者は30分前にはきてるもんだよね、ブツブツ・・・」旅にトラブルはつきものである。そんな訳で定時より少し遅れて全員集合したのは、12時過ぎ。初対面同士もいるので喫茶室で自己紹介を行う。

■中台さん
ジオスポーツ社長、ツアー主催者でガイド兼通訳。フライヤー夢のヨーロッパツアーの夢先案内人である。フライトアドバイスからスープの飲み方まで本当によく面倒をみていただきました。言葉にできないくらい感謝。

■岸さん
ジオスポーツインストラクター。結構生まじめな好青年。ツアー中は運転手と石松さんの保護者のお役目御苦労様でした。

■鈴木さん
スカイジャンキーのドン。前回ツアー参加者ということもありツアーの企画やらガイト役補助やらすっかりお世話になってしまいました。今回一番フライト時間が長かったのは、やはり彼でした。

■清野さん親子
父と息子の親子で参加。お父さんはブティック経営の楽しいリッチマン。ツアー中はソニーのハンディビデオを外人に見せまくり、日本の技術力宣伝に一役買っていました。息子てる君はジオスポーツアルバイトスタッフ。のりまくるお父さんを心配そうに見守っていました。

■菊池さん
横浜でCDレンタルショップを経営する社長さん。(これで社長さんが3人目。)大人の余裕で安全フライトに徹する姿はさすがです。ツアー後ビデオを編集しプレゼントしてくださいました。

■辻さん
関西トノエアーのインストラクター。UP系のはずなのになぜかチャレコンにのっている典型的関西入。何をやってもどこかおかしい、味がある。毎日毎日ビ−ルばかり飲んでいました。

■石松さん
通称ガッツ。女子学生就職難の御時勢どこ吹く風の、浮世離れした東海大4年生。その予測のつかない行動と無鉄砲さで楽しませてくれました。スパイラルが好きなのはいいんですが、湖に激突しそうになるまでしなくてもいいんじゃないでしょうか?

■村松さん
干葉のベテランフライヤー。初日は真っ先に出ようとして5回もスタチンしたり、ノートケッテでは遠くへ行き過ぎて危うく帰れなくなりそうになったり、最終日には一人でフライトを捨てて街へでかけたり(いかがわしい所へ行っていたとか?)、ミーティング中、大いびきをかいて爆睡したりとマイペースの人でした。

■田村 (筆者)20代最後の美しい思いで作りに、借金を重ねて参加した下手の横好きフライヤー。(といってもつい先頃30才の大台にのってしまった)でもアッヘンゼでは結構いい飛びしたでしょ?

とまあ、年齢(10代から40代まで)・性別・職業(社長さんからフリーター志望まで)様々なメンバー10人で出発。




飛行機はルフトハンザ14:05発,。初めての飛行機が嬉しくてついハイになってしまう。それでもヨーロッパまでは本当に遠かった。搭乗して、テイクオフで騒いで、機内見学をして、ドリンクサービスを受けて、(以下延々と続(・・)ユーランシア大陸みて、ヘビ−な機内食、映画の上映、仮眠、おにぎり、ドリンクサービス、.鈴木さんの肩たたき、カイドブックの回し読み、雲の批評、そして二回目の機内食(今度はちょい軽め。ハム、チーズ、パンコーヒーで朝食メニュ)また仮眠。あーっ、まだつかないのーっ!と重たい胃を押さえながら気分はブロイラー。ちなみに、最初の機内食のメニュは、茶側そば、カッパ巻き、サーモンのパテ、,チキンのマッシュルームステーキライス添え、ロールパン、いちごムース、コ−ヒーの妙な和洋折喪だ。飛行機切搭乗の私は機内食に大喜びしてしまったのだった。

12時間後、黄昏時のフランクフルトにやっと到着。思ったよりも蒸し暑い2時間弱のトランジットをウインドウショッピングだの両替だので慌ただしく過ごす。ここではコ−ラ一杯に何と400円もとられ、割高感は含めない。目的地オ一ストリアのインスブルックまでは、チロリアンエアーで一時間強。この短時間でなんと食事がでてくる。おなかー杯にもかかわらずみんなほとんどたいらげる。手の込んだものは出てないがハム、チーズそれにラタトゥイユが本当においしい!

インスブルック空港についたのは現地時間の夜10時30分くらい。我々の便が最終らしく空港は人影もまはらでちょっと寂しい。レンタカーの手配をして、迎えにきてくれたプロデサイン社長ホフバー氏とともに滞在先のフルプメスヘ。先頭車ホフバー氏、2号車中台号、3号車岸号で発車したが、右側通行に不慣れな岸号は先の2台に引き離されてしまう。高速で先行車を見失った途端、分岐点に差しかかり「えっ、ドッチ、ドッチ?!」と止まるわけにも行かず左に入る。あれっと思うまもなく岸号は道を間違えてしまったことに気づいてパニック。「中台さん、とばすからなあ、,道くらい教えといてほしいよ」と岸さんブンブン。一つ先のインターで出て引き返すことにする。ここでの救いの神は鈴木さん。「泊まるホテルがスチューバイエリアのランディングのすぐそばらしいんだ。俺、道分かると思うよ。」まったく鈴木さんの記憶力は大したもので、2年前にきた道(しかも夜)を迷うことなく指示してくれた。先行車メンバーがホテルの前で待っていたくれたおかげでホテルもすぐにわかり長かっ,た一日(時差の関係で今日は7時間多かったのだ)に疲れた我々はチェックイン後ベッドへ直行した。さっそく明日からフライトが始まる。グッドコンディションでありますように。

本日の出費:成田までの交通費約1000円、成田荷物預かり料800円、空港使用料2000円、フランクフルトのコーラ400円、計4200円。飛行機の中ってお金使わなくていいですね・・・





6月26日(日)  イタリアドロミテ・シェルラーンのフライト


朝。ヨーロッパで迎える最初の朝。教会の鐘の音と小鳥のさえずりで目が覚める。(嘘のようだが本当)重厚なカーテンと大きな木枠のどっしりした窓を開けると、教会の向こうに朝の光をあびた山が眩しい。ヨーロッパに来たんだなあとしみじみ実感。これほどイメージ通りだとは思わなかった。アルプスの少女ハイジの世界そのものだ。タペは落ち着いて見られなかった室内を見渡すと、これもまた文句のつけようがないくらい素敵だ。窓、照明器具、ドアノブ,布張のソファ、新しい洗面台、たっぷりのクロゼット。清里あたりのべンソヨンなど比べ物にならないほどしっくりと落ち着いてしかも清潔だ。「フライヤーになってからこんないい部屋泊まったことない」クロゼットを二人で割振り、着替えや小物を全部いれてしまうと「まるで自分の部屋みたい」と石松さんが嬉しそうに笑う,。はしゃぎながら朝食に一階のダイニングへ降りていくと、みんなすでに食べはじめている。朝食はバイキング方式で、メニューは5種類くらいのパン、ハム、ソーセージの類い、チーズが3-4種類、シリアル6〜7種類、ヨーグルト、バター、マーガリン、ジャム数種類、フルーツ、その上、日によってチョコレートケーキ、チーズケーキ、アップルパイ等々盛り沢山。ジュースは(ここではザフトという)アップルザフト、オレンシザフト、グレープフルーツザフト。それと濃い目のコ一ヒーに紅茶。これが毎日でてくる。何気ないパンが驚くほどおいしく、日本で売れば行列間違いなしだ。

優雅な朝食をおえて外にでると、う一ん、風が強い。フェーンの影響だそうでこの辺りはどこも今日は駄目らしい。プロデザインスタッフがイタリアなら飛べる可能性があるというので、移動を開始。30分程で国境を通り(といってもパスポートも見せなかったし、お金を取らない料金所みたいなものだ)約2時間でドロミテの一角シェルラーンというエリアに着く。

ここはテイクオフする山のすぐ横にものすごい岩山があり、圧倒的な風景をみせつける。牧場ののどかなリフトをピクニック気分で登ると山頂は、パラとハングで賑わっている。(よかった、歩かなくていいエリアだ)なかなかよいコンディションのようなのに地元フライヤーはのんびりしたもので日光浴なんかしていたりする。高度は7-900mでテイクオフは程よい傾斜でプレッシャーなし。セットアップするところは広いが、いっぺんにでられるのは3〜4機というところか。ホフバー氏がランディング位置を中台さんに伝えているが、どうも彼もここのランディングには降ろしたことがないらしい。緊張しながら真剣にランディングを目で探すが遠くてわかりにくい。なんどもしつこく確認し、ようやく理解。期待と不安の入り混じったというのは、こういう時の気持ちをいうのだろう。さあ、いよいよヨーロッパ初フライトだ。

サーマル混じりのなかなかいいコンディションである。しかし、目の前の異様な岩I山と初フライトの緊張で、どうもびびって気持ちよく飛べず、プラス100m以上は上げられない。一発外してレベルより下がると上げ直しができそうもなかったのでランディングに向かう。途中の尾根でちょっと粘るが、深追いする気にもなれないのでおろしにかかる。中台さん他何機かは結構あげて3qほど離れた右前の崖に取りつき、アウト&リターンを成功させた。私のほうはすでにランディング上空である。初エリアのセオリーでかなり余裕をもった高度でオーバーヘッドを試みる。ところが、行ってみて驚いた。ものすごくものすごく降ろしにくそうな地形なのである。ちょうど大室山のランディング位の形と大きさで、その傾斜が25度は軽く越えそうな急斜面。その地形を大室にみたいに縦長方向ではなく横長方向に使うのだ。おまけに前から結構な風が入って、リッジが取れそうなくらいである。極め付けは、風上(つまりランデイング先端方向)側の電線だ。真っ先にランディング体勢に入ったことを後悔した。まだ誰のアプローチもみていないのだ。しばし上空で絶句しながら方策を考える。『今日はツアー初日だ。万が一にも怪我などしたら、後は飛べない。インできなくはないがクラッシュ気味になるのは、ほぼまちがいない。(現に私の後におりた地元フライヤーはさすがのアプローチを見せたが、派手にクラッシュし斜面を転げていった)ここは罰金を払っても手前の広い牧草地に安全に降ろそう、ジャパニーズマネーは無敵だ!』という結論に達し、セーフティーにアウトラン。思わず無線を握りしめ怒ってしまう「なんだ!このランディングは、これはランディングではない!」
(自分のへボさを棚にあげてよく言うよね)その後石松さん、菊池さん、辻さんがやはり同じところに次々にアウトランディング。土地の管理人らしいおじさんにちよっと警告されたけど罰金もなくごめんなさいですんだ。下に降りたのは4人だけで後の人は地元の人も含めてみなトップランしたようだ。ここはトップランが主流のエリアなんだろう。フンッ!


こんな怖そうな山、飛べませんーん! ぶっ飛び組3人、イタリアンアイスでご機嫌


4人でランディング徒歩2分のホテルのテラスでお茶をする。イタリア通貨のリラの手持ちがなかったがオーストリア・シリングでOK。おいしいアイスクリームで機嫌を直す。岩山と他の人のフライトをみながらのんびりお茶をすれば気分はすっかりリゾート。その後ほとんどの人が2本目のフライトに向かうがなんとなく風が強くなってきたような気がして私はやめておいた。夕方までかなり多くの機体が飛んでいたが、やがて雲が山の後方からやってきて、本当に強風になってきた。石松さんはトップランをあきらめ下へ向かうが、軽いせいか前に出なくなり完全にはまり状態に。「あいつ、なんも考えないで飛ぶからな」と口では怒りながらも心配そうな保護者の岸さん。一緒に飛んでいた鈴木さんとテイクオフの中台さんの誘導でなんとか降ろせたようだが、その間雨には降られるは、降りたいのに降りられないわで傍目にも大変そうだった。

最初の計画では初日はプレッシャーのないスチューバイで慣らしフライトをするはずであったが、いきなりサーマルあり強風ありランディング難ありのハードなフライトとなった。この日の夕食はホテルで取ることになっていたが、帰りが遅くなりシャワーもそこそこに夕食タイム。前菜にカリフラワーのシュニッツェル(フライ)、メインは子牛の煮込みドミグラスソース。カリフラワーは思いもかけずおいしかったが、牛はよく煮込み過ぎたのかちょっと缶詰めみたいにぱさついた感じで△。デザートはさっぱりめのムースカで◎。明日の天気がちょっと心配だが、早く寝よう。

本日の出費:リフト代(リラなのでよくわからないが一回600−700円くらいを二回のって〉1300円、お昼のアイスティー150円アイスクリーム100円(これは安い!)パーキングでミネラルウオーターを買ったはずだが誰かが代わりにはらってくれた。100円位だからまっいいでしょう。イタリアリラは超インフレで5000リラあってもコーラ一杯買えない。結局桁が大きすぎて通貨の把握を諦めた。     計1550円


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